上岡直見さん講演会、「原子力防災の虚構」を暴く内容で大好評

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NAZENいけぶくろは2月17日、「原子力防災の虚構」著者の上岡直見さんを講師に迎え学習会を開催しました。
著書で上岡さんは、原子力防災の全体の構図を捉え返し、およそ不可能な計画の元に組み立てられた原子力防災の虚構を明らかにしています。原発再稼働の無謀な政策を、第二次世界大戦(昭和の敗戦)、福島第一原発事故(平成の敗戦)になぞらえ、「令和の敗戦」は避けられないと言います。能登半島地震が発生して間もない状況で、日本の原発推進政策の破綻を再認識する機会となりました。

 ●能登半島地震からみえること

上岡さんはメディア報道と独自の調査から、能登半島地震による被災状況に言及しました。警察、消防、海上保安庁、自衛隊による陸海空路等による避難救助はすべて破綻し、志賀原発の30km圏内で約400人が8日間孤立しました。自治体間の通信システムが途絶し、停電時でも使えるはずのガソリンスタンドが機能停止しました。研究機関による能登半島での地震や津波の被害シミュレーションは実際の被害とほぼ一致していて、同じことが今後、全国で起こりうると指摘します。 

●原子力防災計画の破綻
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原子力規制委員会は2012年、原子力災害対策特別措置法(原災法)にもとづき「原子力災害対策指針」を策定しました。これは原子力事業者や自治体が原子力災害時の対応計画を策定する際に指針となるものです。
指針では原子力災害対策重点区域をPAZ※、UPZ※、それ以外の区域に分け、原発の被害状況に応じて住民への放射線に対する重篤な確定的影響の回避または最小化、および確率的影響のリスクを低減するための防護措置を行うとしています。
それでは、果たしてその指針は有効に活用されているのでしょうか。上岡さんは能登半島地震の被災状況に照らし合わせ、その有効性について検証しました。 
(ア)全面緊急事態においてPAZ圏内ではまず避難するが、政府の中央防災会議が東日本大震災の実績から推定した道路支障原単位(1kmあたり0.11〜0.17か所)に対して、能登半島地震でもほぼ同様(0.11/km)の支障箇所が発生した。かりに道路が無事でも、地域の車が一斉に出てくると渋滞が発生する。港湾・漁港も被災孤立集落ではヘリコプターも使用できなかった。よって避難は不可能
(イ)UPZ圏内ではまず屋内退避が発令されるが、能登半島地震では1か月前に新築した新耐震基準の建物が躯体を残して破損。窓が割れ開口部がある状態では露天と同じである。水道・電気などのライフラインも途絶した。屋内退避は効果がない。
(ウ)UPZ圏内は屋内退避後、モニタリングにもとづき防護措置をとるはずが、地震で最大18か所のモニタリングポストが機能停止した。
(エ)避難退避時検査場所は避難者が動き出す前に開設されてなければ意味がないが、道路支障があれば避難できないし自治体職員も開設作業ができない
(オ)安定ヨウ素剤は放射性ヨウ素にばく露される24時間前〜ばく露2時間までの間に服用することにより効果が期待できるが、いつ服用すべきかの情報を提供する手順が成立していない
(カ)津波警報・注意報と原子力緊急事態が同時に起きたら、津波からの避難と放射能からの屋内退避に矛盾が生じる。
(キ)通信網の断絶でどうやって情報提供するのか 以上から、原子力防災計画は破綻していると言えます。背景には「どうせ起きるわけがない」という国の無責任体制があると上岡さんは指摘します。 

●東海第二原発で緊急事態が起きたら
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東海第二原発は首都圏に最も近く、さらに大きな地震が予想される地域です。もしも東海第二原発で緊急事態が起きたら、山地などの障壁もなく首都圏に放射能汚染がそのまま到達します。
上岡さんは、仮に社会的損失として推計した場合、福島第一原発の処理費用が80兆円と推定されていることと比較して、GDP・宅地家屋・企業固定資産の累計でおよそ665兆円にのぼると言います。
またベース電源と謳われる原発の発電量は、実際には東京圏の最大需要電力に対してとるに足らない規模であり、あってもなくても同じだと指摘します。 

質疑応答の時間には、会場から多くの質問・感想が寄せられました。
「実際に原発事故が起きたらどこに逃げるか」という質問に対し、上岡さんは「避難は困難で多くの人が行き先もなく、実際には逃げられない。そんなことになるんだったら大元を止めろということだ」とこたえ、反対運動を盛り上げていく必要があると市民運動への期待を表明し、講演を締めくくりました。 

脚注 
※PAZ precaution active zone原子力施設から概ね半径5km圏内。放射性物質が放出される前の段階から予防的に避難等を行うとされる。 
※UPZ urgent protective action planning zone原子力施設から概ね半径5〜30km圏内。予防的な防護措置を含め、段階的に屋内退避、避難、一時移転を行うとされる。

能登大震災から何を学ぶか~原子力防災政策の破綻 2.17上岡 直見さん 講演会

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能登大震災から何を学ぶか ~原子力防災政策の破綻
志賀原発・柏崎刈羽原発・東海第二原発再稼働阻止に向けて―
 
 2.17  岡 直見さん講演会
 
能登半島地震は、230人以上が亡くなり、 今も膨大な方々が県内外に避難を強いられるなど、甚大な被害をもたらしています。
これは地方切り捨ての結果です。能登半島はこの3年間で震度1以上が500回以上の地震が起こり、「要警戒」状態だったにもかかわらず、何の備えもされてきませんでした。
停止中の志賀原発は使用済み核燃料プールの水があふれ、外部電源1系統が喪失、変圧器も油漏れ。15ヶ所のモニタリングポストが測定不能になっていることも判明。なのに原子力規制委員会は「異常なし」と発表していたのです。
この中で志賀原発や柏崎原発、東海第二原発の再稼働など許してはなりません! 原発避難問題などに詳しい上岡直見さん(環境経済研究所代表)をお招きしての講演会に是非ご参加下さい。
 
上岡直見さん(環境経済研究所代表)
【プロフィール】
1953年東京都生まれ。1977年早稲田大学大学院修士課程修了。技術士(化学部門)。
1977年〜2000年、化学プラントの設計・安全性評価に従事。2002年〜2022年、法政大学非常勤講師(環境政策)。2017年〜2022年、新潟県原子力災害時の避難方法に関する検証委員会委員を務める。
 
2月17日(土)18:30開会 (開場18:10)
としま区民センター会議室403
資料代500円
主催:NAZENいけぶくろ
連絡先:豊島区西池袋5-13-10-603 
電話:03-6914-0487
メール:nazennaike-311@yahoo.co.jp


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能登半島地震でわかった原発避難計画の破綻

ー強い地震・津波が発生した時点で原子力防災計画は機能しない
 
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◎2024年1月1日、能登半島で大地震が発生し、志賀原子力発電所(停止中)が立地する石川県志賀町で震度7が記録された。
◎今回の地震ではNHKのアナウンサーが「テレビを見ていないで逃げてください」「家に戻らないでください」などと繰り返し叫んで適切な対応だったと賞賛された。危険要因が津波だけならよいかもしれないが、地震・津波だけでなく原発の事故が重なっていたらどうなっていたか。
◎高台などに避難して難を逃れても、停電が続き携帯・ネットが通じない、防災無線も機能しない、道路の損傷で広報車も動けないという状態になったら、放射線防護に関する情報は得られない。
今回は能登半島全体が甚大な被害を受けており、近隣の自治体に他町の避難者を受け入れる余裕はない。そもそも道路が損傷したり家屋が倒壊したりしていて、自宅から離れた避難場所に移動する手段がない。倒壊しないまでも大きな損傷を受けた家屋は隙間だらけで、屋内退避では放射線を避けることができない。迅速なヨウ素剤の配布も不可能だったろう。
◎このように、強大な地震・津波が発生した時点で原子力防災計画は機能しないこと、文字どおり絵に描いた餅であることが露呈したのだ。(たんぽぽ舎メルマガの上岡直見さんの文より抜粋)
 
軍事優先で防災関連予算が激減!
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図は井上伸さん(雑誌『KOKKO』編集者)のツイッター(X)より

2011年3・11以降、軍事予算を上回っていた防災関連予算が、2013年の安倍政権発足以降は削減され続け、岸田政権下での大軍拡予算と反比例して更に減らされ、軍事費の4分の1以下にまでなっています。
岸田政権は昨年G7広島サミットで「核抑止力」を正当化する「広島ビジョン」を採択しました。
原発再稼働も核保有・核武装も止めましょう!
福島原発汚染水の海洋投棄やめさせよう!


◎3・11反原発福島行動´24
(福島市 とうほう・文化センター)に集まりましょう

福島原発汚染水の海洋投棄を許さない!山崎久隆さん講演会行いました 3・11反原発福島行動へ

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NAZENいけぶくろは、2月20日に池袋のとしま区民センターで、福島原発事故による放射能汚染水海洋投棄反対の学習講演会を行いました。
コロナ禍の中、チラシやネット告知を通して
新しい参加者の顔も見られ、会場はほぼ満員。運動の前進が感じられる集会でした

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講師のたんぽぽ舎共同代表の山崎久隆さんは、
東電・政府が海洋投棄を決定した経過とその背景、汚染水にはトリチウムを含む63の核種が含まれており、生物や環境に対して極めて危険な影響を与えること、廃炉に向けた工程等々をパワポを使ってわかりやすく明らかにしてくれました。
「処理水を入れたタンクがもう置ききれない」はウソであり、海洋投棄は絶対させてはならないと訴えられました。

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参加者からは質問が次々と発せられ、時間が足りなくなりそうなほどでした。

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主催者からは、「黒い雨」訴訟の勝訴などの核と原発をめぐる情勢が語られ、とりわけ福島で原発事故以後小児甲状腺ガンに罹患した若者たち
がついに立ち上がり東電を提訴したこと、彼ら彼女らを全力で支援しましょうと訴えました。

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集会最後にNAZEN東京代表から3・11反原発福島行動(福島市・信夫山公園集会→福島県庁への抗議デモ)への参加が呼びかけられました。
新しい参加者の女性から「私も3・11に行きたい」との声も寄せられています。3月11日は福島行動に行きましょう!

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画像をクリックするとPDFが立ち上がります。

フクシマ原発汚染水で海を殺すな! 2・20山崎久隆さん講演学習会

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フクシマ原発汚染水で海を殺すな!
海洋投棄に反対しよう!

2・20山崎久隆さん講演学習会

演題『福島第一原発の汚染水、海洋投棄迫る~放射性物質を海に流してはいけない』

山崎久隆さん
…「劣化ウラン弾研究会」代表。原子力と環境問題に取り組む『たんぽぽ舎』副代表。福島原発市民事故調査委員会委員。

〇日時 2月20日(日)14時~(13時30分開場)
〇会場 としま区民センター 会議室503(池袋東口より徒歩7分)

資料代:500円

〇主催 NAZENいけぶくろ
連絡先:豊島区西池袋5-13-10-603
電話:03-6914-0487
メール:nazennaike-311@yahoo.co.jp


NAZENいけぶくろ2・20講演会チラシ裏a

●汚染水の問題点はどこにあるのか
安倍首相(当時)の「アンダー・コントロール」の宣言の下、福島第一原発事故は収束に向かっていることにされている。
しかし発生し続ける汚染水は130万トンを超え、国と東電はこれを薄めて海に放出する計画を進めている。東電は地元の合意がなければ放出しないとの文書を漁協と取り交わしているが、これを反故にしようとしているのだ。
海外からも反対の声は上がっており、国際問題化している。
問題点は、どこにあるのか。そして、汚染水対策はなぜ失敗し続けているのか。
放出される汚染水にはトリチウム以外の放射性物質も含まれている。環境や人にどんな影響があるのだろうか。
事故から10年を経ても、放射性物質は垂れ流され続けている。まずは現状を知り、問題点を明らかにすることが解決への第一歩となる。 

●2・20講演会一3・11反原発福島行動へ
原発をめぐる今年最大の攻防は福島第一原発の放射能汚染水海洋投棄の問題です。首都圏では東海第二原発の運転停止を勝ち取った水戸地裁判決を受けた東京高裁での審理が始まりま丈今回のたん1引王舎・山崎久隆さん講演会で汚染水問題をしっかりと学習して闘いに臨みたいと思います。

昨年は、広島での「黒い雨」訴訟で内部被曝を認めるという戦後初めての画期的判決が確定しました。また敦賀2号機は度重なる文書改竄が発覚し事実上の審理停止状態であり、不祥事が続発している柏埼刈羽原発は再稼働のめどが立っていません。
青森六ケ所村の再処理工場も建設が遅れに遅れています。こうして原子力事業は破綻をあらわにし、政府、東電、原子力村は追い詰められています。
それゆえ彼らは巻き返しに必死です。政府はエネルギー政策の柱のーつに原発を改めて位置づけました。「黒い雨」勝訴の判決内容は長崎には適用しないと理不尽な方針を示しました。最近、小型原発開発に向けて米日で共同研究に入るとニュースが流れています。

台湾有事を呼号し、琉球孤へのミサイル基地建設が沖縄民衆の反対の意思を踏みにじって強行されています。これは敵基地攻撃能力保有で米日が中国との戦争準備に入ったということを意味します。汚染水海洋投棄はこうした情勢下で強行されようとしています。それは辺野古新基地建設絶対反対の沖縄民衆の意思を叩き潰そうとしているように、福島の人達の原発反対の声を一掃しようとする岸田政権の反動的な本質を示すものであり、政府に抗う者をなきものにしようとする攻撃です。

昨年の勝利の道筋をもう一度確認し、不正義、敗勢の彼らに攻勢をかけましょう。2・20山崎久隆さん講演会に参加してください。そして11年目の3・11福島現地闘争に大挙して馳せ参じましょう! 

人と人とを結びつける運動へ~2・13NAZENいけぶくろ講演会報告

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NAZENいけぶくろが毎年3・11前のこの時期に開催している講演会。
今年は2月13日に、ルポライターで「東電被爆二〇二〇・黙示録」の著者の小笠原和彦さんをお招きし、「あれから一〇年、東電被爆ーいまフクシマは」と題してお話を聴きました。
「緊急事態宣言」延長が続くコロナ禍のなか、会場を埋める50人近くの方が集まってくださいました。

最初に、NAZENいけぶくろ代表の五條さんが、3・11から10周年をめぐる、原発再稼働などの状況について提起しました。

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講師の小笠原さんとの出会いは、NAZENいけぶくろメンバーの櫛渕秀人さんが東海第二原発再稼働反対集会でビラまきをしていたところで出会い、「東電被爆二〇二〇・黙示録」を呼んでいた櫛渕さんと意気投合。講演を依頼したところ快く引き受けてくださったそうです。

講演で小笠原さんは、被災地で健康被害がはっきり出ていることを主張します。小児甲状腺がんの発症率は通常100万人に2,3人であるのに対し、自身の住む東葛地域1,832人の検査で3人発症したことから取材を始めたとのこと。人づてに人を訪ねて、様々な証言を得ます。事故の影響を最も受けた飯館村で人々が口にするのは、金属の臭い、味、「肌で感じる」放射能です。取材をする人は現在も体調が思わしくなく、悔しさ、怒りは計り知れません。


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南相馬市立総合病院の2010〜17年の患者数の推移や福島県立医大附属病院の患者数の推移を紹介し、様々な病気が震災以降増加していることを示しました。特に、2011年〜18年の飯館村の出生者数の推移では、男児が女児より43名少ないことを紹介し、本来の比率では男児のほうが多く生まれるはずで、つまり本来生まれてくるはずの男の子が死んでいると指摘しました。これにはドキとさせられました。小笠原さんはこれらの事実を自身の「労働により得た」ものだと言います。

著書を読んで、ご本人にお会いした印象はエネルギッシュで快活。真実を追求するバイタリティは役所勤めの経験が背景にあるようです。「3.11以降さらにものが言えなくなっている。」という小笠原さんは、原発は今すぐ廃炉にすべきと確信を持って言います。そして自身の話をぜひ広めてほしいと締めくくりました。

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質疑応答では汚染水の海洋放出について議論になり、小笠原さんは「政府・東電に考えさせたらいい」と一刀両断。責任を追求する姿勢は揺るぎません。参加者からは「将来の人たちのために私たちができることは、真実を開示させること、それが私たちの責任だ」「東電幹部の無罪判決を重くとらえなければならない」などの感想がありました。

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人と人とを結びつける運動がますます求められています。みんなが科学者ではなく、みんなが当事者ではないですが、あの日の記憶はみんなが持っています。
一人ひとりが語り手になり、真実を広めていく時だと思います。(土岐田和陽)

2月13日に小笠原和彦さん講演会をおこないます

NAZENいけぶくろ2・13講演会チラシ表

2・13講演会
「福島原発事故-聞き書き調査による健康被害の実態」

講師:小笠原和彦さん
(『東電被曝二〇二〇・黙示録』著者)

2月13日(土)14時~(開場13時半)

としま区民センター 会議室504

主催:NAZENいけぶくろ

東電被曝2020・黙示録
『東電被曝 二〇二〇・黙示録』小笠原 和彦 (著)

3・11福島第一原発事故から10年目がやってきます。お薦めしたい本が小笠原和彦著、風媒社刊『東電被曝二〇二〇・黙示録』です。東葛地域、福島県の飯舘村、大熊町、浪江町、福島市、郡山市などの居住者への聞き取りです。
 まず東葛地域で3・11から5年で3人の小児甲状腺がんが発見されたというところから始まります。検査総数は1832人。福島の県民健康調査のようにやればもっと多くの発症が確認されるのではないかと言われています。
 また南相馬市立総合病院の2010〜17年の患者数の推移の一覧表が掲載されていますが、甲状腺がんの患者数は29倍、白血病は10・8倍など驚くべき実相が明らかになっています。
 心筋梗塞(こうそく)や肺がんなど他の疾患も軒並み4倍等々。今一つ、稽留(けいりゅう)流産について書かれています。いわゆる奇形児に関わることです。その検査の結果で奇形児と判明した場合、流産のような形で対処。医師はカルテには記録しないそうです。証拠が残るからです。これはかなりの数にのぼるようです。また県立医大病院の退職看護師の話として検査でもわからず出産して奇形がみられる場合、これも闇に葬る、そして箝口(かんこう)令がしかれるとの話も載っています。
 他にもメディアが全く報道しないことがたくさん明らかになっています。この本は聞き書き方式のためデータに基づいて展開されているものは少ない。その限りで悔しい思いもしますが、皆さん、是非読んでクチコミで周りの人たちに伝えて欲しいと思います。来る3・11福島に向かって怒りも新たに進みましょう。(NAZENいけぶくろ 櫛渕秀人)

NAZENいけぶくろ2・13講演会チラシ裏

12・13ふくしま共同診療所報告会を開催

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10年目の3・11が目前に迫っています。
NAZEN東京はこれを見据えて「ふくしま共同診療所報告会」を都内で12月13日に開催しました。
具体的テーマは「フクシマの健康被害と汚染水」問題です。講師にはふくしま診療所の杉井医師をお迎えして講演をしていただきました。杉井氏はパワーポイントで映像を説明しながら50分に渡り熱弁を振るわれました。
 帰還困難区域とされた地域が20msy以上という福島基準が設定されたこと、そして今問題とされているのは①小児甲状腺ガンの多発②汚染水の海洋放出③中間貯蔵施設の永久貯蔵施設化④福島第一の廃炉作業と原発労働者の被曝⑤帰還政策と補償打ちきり、と問題点を明らかにされました。このうち今回は主に①と②について詳しく展開されました。

 まず原発事故による健康被害よ象徴的疾患である小児甲状腺ガンの多発について、福島県や県民健康調査検討委員会は「数十倍の発症」という事実は認めた。実際福島においての小児甲状腺ガン発症の推移をみると13年~15年で倍増している。しかし検討委員会は過剰診断の可能性があるなどといい、放射線との因果関係を認めようとはしない。発症には明白に地域差もあると映しだされた画面をみながら説明がなされる。これについても検討委員会は「地域差はない」と強弁していると弾劾。県と検討委員会はコロナで受診率(検診率)が落ちておることも利用しながら検診の段階的縮小に進んでいる。検診のメリットとデメリットなどといいながら、見つけなくても良いガンを見つけているなどとデメリットを強調し検診を受けさせない方向に誘導。小児甲状腺ガンがなぜこんなにも問題となっているのか。それはチェルノブイリの経験があるからです。福島では小児甲状腺ガン以外のガンも多発していると「週刊金曜日」の記事を映し出しながら説明がなされる。これから次々とこうした 放射線由来の健康被害が起こります、それが今見え始めている状態ですとも。福島に伝承館という施設ができ、そこで教員研修として「放射能は安全」という教育が始まっている、と新たな動きにも触れられました。

 次いで②の汚染水の海洋放出問題について福島第一のタンク群の映像を見ながら話を進行。トリチウムはアルプスでは吸湿できずそのまま海に放出せれていくこと。トリチウムがとれないだけでなく他の物質も入っていると思われる。1号機が10年たってもデプリの底の部分がどうなっているかもわからない。これから調べるという。デプリが取り出せない以上これからずっと汚染水を流し続けるということ。トリチウム以外にも52核種、70%基準こえがある。薄めれば良いということではない。総量が問題なのだ。政府は健康被害は報告されていないというが、「被害はない」といは言わない。そもそも政府や県はかつて県民や関係者の理解がなければ流さないと約束していた。タンクの敷地は本当に足りないのか。いや敷地はあるのだ。福島県民の世論調査では海洋放出反対は57%に達していると批判される。そして帰還強制政策について、20msyで家に帰れお誰が決めたのか、これで良いという医師など誰もいないはずだと政府を弾劾。

「黒い雨」裁判の勝訴に触れ、初めて内部被曝を認めた。70数年たってようやくこうなったと裁判の意義を語り、これでフクシマとヒロシマの問題ががっちりとつながった。福島の健康被害はまだ始まったばかり。これから数十年も続きもっと拡大していく。ヒロシマ、ナガサキに学び記録していくことも重要だと。

纏めとして①ガンなどの疾患は多発していく②調査をちゃんとやらせる③帰還強制政策をとりやめさせるの3点が提起されました。この集会には74名参加。初参加者の姿も多かった。フリートークやその後の懇親会ではこの方達から保養に関する質問や保養活動体験について多くのことが語られました。本集会で改めて感じたことは「10年でフクシマを終わらせる」という菅政権の政治に対し、健康被害に拘り明らかにしていく闘いが極めて重要だということです。そのためにもふくしま共同診療所の存在と活動が、今までにも増して大きな意味を持ってきていること。そして「避難、保養、医療」の原則に立ってふくしま診療所をしっかり支え、核と原発に対する闘いをもっと大きく広げていくことの大切さです。原発再稼働、新規建設に舵を切った菅政権と徹底対決し、10年目の3-11を共に闘いましょう。

NAZENいけぶくろ 櫛渕秀人
自己紹介
NAZEN(「すべての原発いますぐなくそう!全国会議」の略称)の一環として、池袋駅を中心にした都内のエリアで反原発・反被ばくの活動をしています。
原発事故は終わっていません。「公式」発表でも230人を超える小児甲状腺がんを「放射線の影響ではない」と居直る原子力推進勢力の大ウソ。「放射線は安全だ」と言う副読本を学校で使うことなど絶対にダメ。原発も核もいらないという3・11の原点に返り、福島の怒りをともに。

連絡先:〒171-0021豊島区西池袋5-13-10-603 NAZENいけぶくろ
電話:03-6914-0487
メール:nazennaike-311@yahoo.co.jp
ツイッター:@nazenikebukuro

◆カンパ振込先
ゆうちょ銀行 総合口座
【店名】〇一八(ゼロイチハチ)
【口座番号】8949703
【口座名】NAZENいけぶくろ
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